KIZAI-TECTO TECNOLOGY NOW

施工技術

世紀の史跡まるごと移動・・・弘法大師もびっくり!

削孔精度向上Φ175 Φ100

鉄筋挿入で一体化ヘアーピン効果

施工写真 2008、10〜2009、4 

虎渓橋堰き止め状況

移動完了下流より

所定位置到達 

牽引移動完了 L=19m下流 上流より

滑材注入

敷き鉄板とケーブル設置

ワーヤーソウで地切り切断

独鈷の湯移動復元竣工

湯汲み式桟橋設置

独鈷の湯     まるごと引っ越し大作戦   静岡県伊豆市修善寺町桂川

平成16年10月の台風22号により被害

2、地元の想い 

 この由緒ある独鈷の湯は、桂川の洪水時に付近一体に水害の被害が繰り返されていた。しかし、過去地元では撤去するわけにはいかず泣き寝居入りしていた。静岡県では修善寺川の河川整備の改修工事が施工されることとなってこの史跡をどうするか。撤去か残すのか・・・地元との再三の協議の結果地元の温泉発祥地としての想いと1200年もの歴史の重みで残すことに決まり、19m下流に独鈷の湯場諸共引っ越しさせる大移動作戦が始まった。

4、施工技術 

 *体重が重い岩山であるが亀裂が多く曳き工事中に分解の恐れがあり鉄筋ボルト等挿入により一体化させるヘアピン効果のSW工法応用で解決した。

 *この370tの岩盤を連続削孔によるスピリティング工法での完全縁切りについてΦ100とΦ175のラップボーリングで縁を切る。削孔精度もありだめ押し地切りにワイヤソーによって完全に地切りをした。
削孔精度向上に特殊ガイドでセルの固定とノミ先端のノーズダウンを極力小さくし熟練工の経験と勘で上げ越を決めて精度1/200が確保できた。また、迎え堀により一層の精度を向上させた。

 *摩擦の低減にはスライド用敷き鉄板を一枚一枚アンカー等で固定し、岩塊の先端に特殊ソリを装着し地切りと同時に乗り上げが容易になる工夫をした。

 *膨大な重量による摩擦力の低減に特殊滑材を削孔内に充填し理論値300tを200tに低減させた。

 *曳き作業は、PC技術の押し出し工法の応用で反力設備と諸機械はPC機械を使用した。

 *乾季施工のための工期短縮にロスのない手戻りのない作業に努めたが雨も多く引き上げ作業に難渋したが着工遅れを取り戻し4月に移動を可能とした

湯場諸共の移動には、問題点の解決に土木技術の応用があった。

 *体重・・・岩盤重量370t、補強コンクリート共で総重量500t余 移動時の亀裂破壊
 *地切り・・・スピリティング工法の削孔精度1/100=>1/200 削孔方法の改善
 *摩擦係数・・・0.6 =>0.5 鉄板と滑材
 *曳き作業・・・PC技術の応用
 *乾季施工・・・10〜3月までの渇水期施工 工期短縮と自走機械

3、世紀の史跡大移動作戦

下流左岸よりへ19m移動イメージ

1、史跡のいわれ
 
 その昔(1200年前)、西暦807年大同2年に、弘法大師がこの地、桂川を訪れたとき、病み疲れた父の体を洗う少年を見つけ、その孝行心に心を打たれ「川の水では冷たかろう!」と、手にした独鈷杵(仏具)で川中の岩を打ち砕き穴を開け、暖かい霊泉を湧出させたという。そして、大師が父子に温泉治療を教えたところ、なんと不思議なことに父の十数年来の病は たちまち治癒したと伝えられ、その後、この地修善寺には湯治として温泉治療が広まったという。 いわゆる修善寺温泉発祥の温泉で、伊豆最古のものといわれている。